「クズネツォフ」を作ろう!

私と「クズネツォフ」

「ソ連海軍が本格空母を作っている」そう聞いたのは私が高校生くらいの時でしょうか。当時は「ミンスク」がウラジオストクへ回航され
極東艦隊に配備された直後で、WL少年だった私はアオシマ製の「ミンスク」のキットを買ったりしてすっかりソ連海軍ファンに
なっていました。その後情報が錯綜し件の空母は「レニングラードで建造されている」と思いこんだり、「名称がレニングラード」
だと勘違いしたりしていました。後に造船所がウクライナ共和国のニコラエフ工廠であることを知り不審に思いました。ニコラエフは
黒海に面しており、黒海から地中海へ抜けるにはボスポラス=ダーダネルス海峡を通過しなければなりません。しかしそこには
ソ連とトルコが締結した「モントルー条約」があり「空母の通行を禁止」しています。勿論以前に同工廠で「キエフ」級が竣工しており
「対潜巡洋艦」だと称して無理矢理海峡を通過しています。同じ手を使うのかと非常に興味がありました。

それから10年程たったある日。既にソ連は崩壊した後で、何気なくテレビの「NHK特集」を眺めていた私は画面に釘付けになりました。
そこには見たこともない奇妙な空母が映っていました。巨大なアイランドを持つその空母はウクライナ政府の差し押さえを逃れるため
艦名を「トビリシ」から「クズネツォフ」へ変更し、ロシア海軍によってニコラエフから脱出、モントルー条約を破って北海へ回航され
ているとナレーターのM平氏が伝えていました。放送はソ連崩壊の象徴として「クズネツォフ」の映像を流していたのですが、そこで
私は初めて「クズネツォフ」は建造が伝えられていたソ連の空母だと言うことを知りました。ボスポラス海峡通過の言い訳は
「空母としてまだ完成していない」という事だったと思います。

さらに月日は流れ「クズネツォフ」のことなどすっかり忘れていた私は模型趣味に出戻り、レオナルド7へ通うようになっていました。
数年前、お店で何げにイタレリの1/720 HMS Hoodの箱を裏返してみたらそこには件の空母のイラストが記載されていました。
「クズネツォフ」のキットが発売されているとは夢にも思っていなかった私は居ても立ってもいられなくなり店長に在庫を調べて貰いました。
残念ながらイタレリのこのキットは数年前に輸入されていて、当時の日本では既に入手難になっているようでした。

それでも諦めきれない私はインターネットを駆使して、得意の個人輸入で「クズネツォフ」のキットを入手することにしました。
アメリカの業者に発注して待つこと3ヶ月あまり、ようやく夢にまで見た「クズネツォフ」のキットを入手する事が出来ました。

キットについて

Italeri 1/720 Admiral Kuznetsov

ハッキリ言って決して良いキットではありません。凄く細かいモールドが成されているかと思えば、いい加減なディティールがあったり
と、かなりちぐはぐなキットです。船体も良く実物を調べていると感じるところもあり、また不明な部分は省略していると思えるところも
あります。船体で言えばスキージャンプ勾配先端の角度や艦首フレアライン、左舷中央部・短艇格納スペース?の省略や艦橋の取り付け
位置などに疑問がありますが、おおむね「クズネツォフ」の特徴を捉えたキットだと言えるでしょう。上部構造物、武装パーツ等は
非常に不満があります。RBU-12000の形状不良やCAKE STANDレーダーが細長すぎることはまだしも、一番マズイのは
CADS-N-1の形状が全く違うことです。CADS-N-1は結構複雑な形状をしており、また写真で確認することもかなり難しい装備です。
しかも装備数は8基と製作意欲をそぐこと請け合いですね(笑)。しかしこれらを根気よくクリヤしていけば憧れの「クズネツォフ」を
再現する一番の方法になります。何しろ「クズネツォフ」のキットとしては唯一無二なのです。正福徳模型からも1/800で発売されている
らしいのですが入手はかなり困難だろうし、どのみちイタレリ版のスケールダウンコピーだろうと思われます。

資料について

キットがトホホなので当然、資料が無くては始まりません。去年ハセガワが輸入したコンコルド社の"KIEV&KUZNETSOV"が
丁度よい資料になります。しかし中身はほとんどKIEV級の写真ばかりで、期待して買った私はもの凄くがっかりしました。
しかも資料としては写真がやや古いのが欠点です。ロシア海軍艦にはナンバーが舷側に書き込まれていますが、コンコルド社の
本の写真は113と082の2種類が確認できます。艦ナンバーの意味はよく判っておらず、書き換えられることも希ではないので
注意が必要です。恐らく最初113が書かれていたのですが、後に082に書き直されたと思われます。しかしその後「クズネツォフ」の
艦ナンバーは更に063に変更されています。

そこで次に良い資料が「世界の艦船」1999年2月号No.548の特集記事「今日のロシア海軍」です。この本には比較的新しい
「クズネツォフ」のカラー写真などが掲載されています。艦ナンバーが全て063になってからの写真のようですが、飛行甲板の
誘導ラインで確認すると34ページの写真は少し古いようです。巻頭のカラー写真の方は塗装時には最高の資料になりました。

さて、他によい資料がないかと色々探してみましたがなかなか無いモノです。しかし、今年1月発売の「週間ワールド・エアクラフト」
118号にとてもよい写真を見つけました。17と18ページにはロシア海軍航空隊の特集があり、クズネツォフ艦上に並んだSu-33と
Ka-27の写真が掲載されていました。艦載機の細部もさることながら、背景に「クズネツォフ」の細部も良く捉えた素晴らしい
写真です。その他Su-25UTGなどの写真も載っていてとても参考になりました。

この3冊だけではやはり少し不安ですね。しかし私は以前に良いサイトを見つけているのでご紹介します。
"Naval Tecnology"と言うサイトの"Admiral Kuznetsov"のページを是非ご覧になって下さい。艦首の形状等がよく判る
画像や貴重な左舷側の画像などどれも綺麗な写真ばかりです。下記にURLを紹介します。

http://www.naval-technology.com/projects/kuznetsov/index.html

以上私はほぼこれだけの資料を参考に「クズネツォフ」を作りました。ただ上にも書いたとおり、左舷の写真が少なく
左舷側はある程度我慢して製作しています。特に左舷舷側張り出し下部に切り欠き3つがあることが確認できていますが、
それが何なのか全く判りません。また起倒式ホイップアンテナの位置と数が今ひとつわかりませんでした。

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