輸入秘話

個人輸入事始め

私が最初に個人輸入したのはAgfa Flexiletteでした。35mm判の二眼レフです。
相手の在庫も確認しないまま、いきなり代金を送りつけて注文しました。英語の能力もかなり
お粗末な物でしたが手順が判らなかったのです。インターネットが存在しなかった10年ほど前
とは言え、それにしても思い切ったことをしましたね。たまたま在庫があったから良かったものの、
無ければ
Sorry,it was sold.
と返事を貰うところです。誰でもトラブルはいやがりますので、売り手にも出来るだけ
負担をかけずに取り引きしたいものです。代金を送る前に必ず在庫を確認すること。
それから送料込みの合計金額を教えて貰うこと、これが大事です。

Flexiletteを売ってくれたSiegel氏は今では私が一番信頼するバイヤーです。

ブリリアント

一時期フォクトレンダーのBrilliantに凝ってました。で2度目に輸入に踏み切ることにしました。
しかし、船便で注文したのに1ヶ月以上過ぎても到着しません。まだ輸入を始めたばかりなのに
もうクレームを付けるハメになるなんて、何と書けばよいか四苦八苦した覚えがありますね。

でなんとか手紙を書いて待つこと2週間、返事が来ました。発送を忘れていて申し訳ない、
すぐに送るのでよろしくと書いてありました。相手はドイツ系のアメリカ人で今度からファースト
ネームで呼び合おうと書いてありました。その後無事にブリリアントを手に入れしばらく彼との
取引を続けましたがそれは長く続きませんでした。

彼の商品評価が甘くEX評価でも不動品だった事もあり、次第に気持ちが離れていったのです。
取り引きするなら出来るだけ誠実な相手を選ぶのがリスクが少ないと言うものです。
たとえ多少値段が高くてもカメラだけでなく、お金で買えないモノを同時に手に入れられる筈ですから。

苦い思い出

上記と同じくあるバイヤーに荷物が届かないと思いきりクレームを付けました。しかし相手は
それで飯を食ってるんではなく、ただのカメラマニアでした。もの凄く怒って「こんな侮辱は初めてだ」
とかなんとか返事をよこしましたね。これには少々驚きましたが、よく考えたら幾ら商売ではないとは言え
取引の品物を2週間も放っておいたのは彼の過失です。勿論彼との取引もそれっきりでしたが、
やる気のない相手から物を買ってはいけないと言うことが分かりました。一応商品リストを作って
売り手を捜している以上、既に商売なんです。やる気のない商売ほど迷惑なモノは無いでしょう。

売り手もそうですが、買い手も買う気があるのだったら出来るだけ早く送金しましょう。
Alpa11elを購入するとき、たまたま社員旅行に行くのですぐに送金できなかったのです。
いつもなら1週間以内に送金してましたがその時は2週間後に送金しました。相手のバイヤー
さんは怒って手紙をよこしましたよ、買う気があるのか?って。インターネット以前の話なので
ピンと来ないお話かも知れませんが、慌てて送金しました、お詫びの手紙と共に(笑)。
何せ憧れのアルパを手に入れるチャンスを逃す気はなかったもので。

誕生日

ある日リストで欲しいカメラを見つけたとき、ふと「もうじき誕生日だから記念にしよう」
と購入に踏み切ったことがあります。で、英文メールにも慣れてきたので「もうじき誕生日
だからサービスしてくれない?」とバイヤーに言ってみました。相手からの返事は「じゃちょっぴり
だけどオマケします」と言うことで5%程値引きして貰いました!ラッキー!言うだけはタダなので
暴言以外は書いてみるものです。しかも相手は「あなたのような若いコレクターと取引出来て嬉しい」
とまで言ってくれました。勿論お礼の手紙を書いたのは言うまでもありません。海外の方には少々
オーバーな表現で喜びを伝えておくとより気持ちが伝わりやすいですよ。

裏取引?

注文品が到着した時に到着のメールを送っておくのはマナーですが、一言でもありがたいとか
嬉しいとか喜びの表現を添えておくとバイヤーに気持ちが伝わります。また何か買ってくれるに
違いないと言う商魂だけでなく、信頼と親しみが湧くものです。相手は見たこともない人には違い
ないのですけどお互い同じ人間なんですから、これは大事なことです。

$50の激安エルマーを見つけて慌てて注文したのですが、既に売り切れ!Sorry, it was sold.
とのことでしたが、「他に$20のズミタールならあります」と書いてありました!これは彼の
リストに載っていない品物でお得意さんの私にだけそっと教えてくれたのです。

ある時ライツミノルタCLを発見してすぐ注文!勿論既にSold out!しかしバイヤーさんは
「今度ライツミノルタCLが入荷したらリストに載せる前にあなたにお知らせします」
と慰めてくれました。その後、手ごろなライツミノルタCLを彼から入手出来たのは言うまでも
ありません。

安けりゃいいのだ!

上で紹介した$20のズミタール、なんでこんなに安かったかと言うと実は
diaphram blades moved
つまり、絞り羽根が外されているとの事でした。私は同時にライカのボディを購入した
のですが、ボディキャップ代わりになれば何でも良かったんです。しかし送ってきた
レンズを調べてみると、どうやら羽根は中にあります。単に絞りリングとの連動が外れてて
作動しない模様です。大胆にも、と言うかあまりに安かったので即分解することにしました。

思ったとおり羽根は全て中にあり、金具の台座から外れていました。これを試行錯誤の上
なんとか修理成功!夜中に三時間も掛かってしまいましたが、とても嬉しかったです。

無くなった?

何度か英国のある業者と取引しました。その時はもう、インターネットに接続していたので
取引はスムーズでした。ある日アルパ用のオートバクとエキザクタRTL1000を注文しました。
在庫確認のあと数日経ってから、相手の業者からメールが届きました。最初は何を言ってるのか
よく判りませんでしたが、良く読んでみるとどうも謝ってます。何を謝っているのだろうと
更に詳しく調べてみたら、なんと、注文して在庫確認まで済んでいたRTL1000が何故か無くなった
と言うのです!「昨日までは確かにあったのだが、今朝になったら何故か無くなってしまった」
なんという不手際!
RTLは結構珍しく一度現物を見てみたいと思っていたので、非常に残念だと業者に伝えたところ、
「あなたが欲しいカメラをリストアップしてくれたら特別に探しますので許して下さい」とのこと。
さほど金銭的に余裕が無く、たとえカメラを見つけて貰っても買えるか疑問だったのですが取り敢えず
Alpa6c,9d,10dのいずれかのボディまたはUKP500以下のLeicaM5ボディを探して貰いました。

結果Alpa6cのボディをUKP699で手に入れました。送ってきた6cのボディをチェックして
巻き上げレバーのリターンスプリングが効かないこと、高速シャッターが不調なこと、
メーターが動かないこと、そしてファインダーの一部が欠けて見えることに気が付きました。
すぐにメールすると「修理サービスに廻すので送り返して欲しい」とのこと。実はリターン
スプリングは自分で修理していましたが、シャッターが不調なのは自分ではどうにも
出来ないので修理して貰うことにしました。

都合2ヶ月ほど掛かって6cは再び私の元に帰ってきました。シャッターは完全に直ってました。
メーターはセレン光電池の交換をしてあり振れが安定し満足です。しかし一番気になるファインダー、
やはり動作に関係ない部分は修理してありませんでした。恐らくペンタプリズムの銀蒸着の一部が
剥がれているのでしょう。これは我慢して使うしかないようです。しかし苦労して手に入れただけあって
この6cには愛着があります。今回の教訓は
「一度手違いがあるとなかなかスムーズに取引が行かないもの」だと言うことです。無くなったモノは二度と
帰っては来ません。代理の品物はあくまで代理であって本当に欲しかったものではありません。特に中古品には
完全な代用品などあり得ません。全てが「唯一無二」のモノなのですから。

ランデブー

「欲しいカメラの交換レンズを先に買っておくと、あとからボディがやって来る」
と言うカメラコレクターの迷信があります。数年前に買っておいた
買う当てもないコンタックス用のSonnarに吸い寄せられて先年、コンタックス2と3がやって来ました。
1台で良かったのにバイヤーさんがオマケしてジャンクの2型をつけてくれたのです。有り難いけど、
付けるレンズがない!レンズもオマケしてくれ〜(笑)!

これまた数年前に「いつか買うつもり」だと信じてライカMマウントのSummicron 50/2 collapsibleを
購入しました。何しろたったの$100だったんですもの。Front element heavy scrachですから当然の値段でしょう。
待つこと3年余り。遂にやっと念願のM5をゲット!ボロでしたが動作は完璧、値段も格安だったので
私的には大満足です!使うつもりで買うのならカメラはなるだけキタナイ完動品を購入しましょう。
レンズもかなりの傷物ですが、傷のお陰でソフト効果が効いているのでは?と妙な期待をしてます。

上のコンタックスはどちらもアメリカからやって来ましたが、下のライカはレンズがアメリカ、
ボディはオーストリアから購入しました。私がいなかったらこのカメラとレンズは一生出会わなかった
のでしょうから何だかロマンチックな話です。

オマケの話

最初の輸入から既に10年ほどが経過しています。Siegel氏と今ではかなりの信頼関係が出来ています。と言っても
ここ一年ほどはなんにも彼から買ってません、モーシワケ無い。
彼はとても気さくでアメリカ人らしからぬ「控えめ」で「良心的」な紳士で私とは馬が合うようです。

あちらも私を気に入ってくれているのかここ数年はオマケを沢山して貰います。彼はよく「私がリストに書いて
いる評価より実際のカメラの程度が悪いと感じたのでサービスしておきます」と言ってオマケしてくれるのです。
私は彼が照れ隠しにそう言ってオマケしてくれるのだろうか?と、アメリカ在住の友人にこの事を話してみると
「本心でそう思うのだろうけど、それにしても標準的なアメリカ人と比べるとかなり良心的で控えめな人」
だと評価しました。

上にも書いたとおり、コンタックス3を買えばジャンクの2がついてくるし、ライカのボディを買ったときには
速写ケースとインストがついてきました!勿論とても嬉しかったのですが、私はモノを貰ったことよりも
相手が私に気を遣ってくれたこと、お互いまだ一度も会ったことがないのに気持ちが伝わっていることに感激しました。

こう言うときは素直な気持ちをメールで伝えることにしてます。

史上最大のピンチ!

ある日送られてきたばかりのリストに超小型の反射望遠レンズを発見しました!f8/670mmなのに
手のひらサイズのこのレンズ、某チョートク氏所有のパーキンエルマーを思い出し、少々値が張るものの
思い切って注文しました。問題なのはレンズマウントがTマウントなので、M42アダプターを介してアルパと
合体させることを目論みました。

すぐにあちこち手を尽くしてなんとかT→M42アダプターを手配しました。これで完璧!な筈だったのですが
既に歯車が狂い始めていたのに私はまだ気付いていませんでした・・・

まず、小型反射望遠レンズには既に別の買い手がついていました!バイヤーさんは日本へは売れないだろうと考えて
先にeBayへ売りに出していたのです!勿論相手は平謝りでしたので、仕方なく予算の都合で同時に注文出来なかった
イロカ・ステレオを代わりに注文。しかしなんと間の悪いことにこちらも既に売れてました。

悪いことは重なるものです。別に注文していた、しかももう「用なし」のTマウントアダプターが到着、しかもまだ
支払いもしていないのに・・・間に合えばキャンセルするつもりでしたからね。

結局Tマウントアダプターだけでは収まらなかった私はレンズの代わりに先のバイヤーさんにバルナック型ライカ
を注文しました。こちらはなんとか売れずに残ってましたからね(笑)。しかし・・・これが最大のピンチを招く
結果になるとは、愚かな私はまだ気が付いていませんでした。

私は郵便局へ行ってライカとアダプターそれぞれ2件別々の注文先に支払いする為に国際郵便為替を2通作成しました。
窓口で「ご自分で発送されますか?それとも局の方で送っておきましょうか?」と訊かれていつもの通り
郵便局の方での発送に任せました。親切心から出たコトバでしたが、結局怠慢な業務の為に
私は振り回されるハメになるのです!

一週間程してライカも無事に到着。到着のメールを送ると相手先から「まだ代金は届かないけどそちらが先週送金
しているのなら、そのうち届くでしょう」との返事が来ました。私は最初、変だな?もう一週間はたっぷり
掛かっているのにまだ届かないなんて?と感じましたが相手がさほど気にしていない様子なので放っておきました、
「そのうち届くさ」と思って。

更に2週間が経過した頃、再び相手からメールが来ました「ライカの代金がまだ届かない。書留の発送番号などを
教えて欲しい」との事でした。私はちょっと蒼くなりました。放っておいたツケが回ってきたからです。
すぐに郵便局に電話して国際郵便為替が送り先に3週間経っても届いていないとの旨を伝え、為替の発行控えなどを
連絡して調査して貰いました。

局の調査は思ったより早く、1時間ほどで電話が掛かってきました。調査の結果、私は2件別々の相手に支払うつもりで
為替を2通発行したのにも関わらず、郵便局ではマウントアダプターを売った業者に2通とも送ってしまっていたのです!

為替には相手の住所氏名を書く欄があり、同じ相手に送るなんて郵便局はどうかしてます!
しかも同じところに送ったのでは何のために2通為替を作ったのか意味無いじゃないですか!
手数料と送料倍払って一カ所に送るバカがいますか?勿論限度額を超えていないので一カ所に送るのなら
2通作る必要なんて考えられません!

ああ、またしてもなんたる不手際・・・・勿論局は平謝り・・・「為替の送付を受けていない方にはすぐに代わりの
為替を送付しますから・・・」「・・・勿論そうして下さい・・・」さて、いよいよ最大のピンチの到来です。
局の係官は私に以下のようなオネダリをしてきました。

「あのぉ・・・大変申し訳ないのですが・・・
間違って送った為替の方を、相手の方に送り返して貰うようにお客様の方からお願いして頂けませんでしょうか?・・・」

うおおーっ!人に迷惑かけておいて更に私の英語力を試そうというのか?郵便局員め!

私はかなり頭にキテいましたが、元来「いい人」なので(笑)その件は「努力します」と返事してしまいました。
最大のピンチ、それは間違った為替を受け取ったかどうか英語で訊ねること。定番の注文、お礼のメール以外を書くなんて
かなり久しぶりです。英和・和英辞典、英文メールの書き方の本などを駆使して超四苦八苦しながらもなんとか
英文メールを捻り出しました!

メールを送ると相手はかなりビックリして返事をしてきました。「確かに為替は2通受け取っています。
私は次の注文の代金だと思って受け取ってしまいました!」こんな返事が返ってきたのです!
オイオイ、ちょっと待てよ!為替記載の指定受取人本人でないと換金出来ない筈じゃないのか?
それじゃ自分以外の人間の名前を為替にサインしたというのか?それを世間では「横領」とか「詐欺」って
言うんじゃないのかい?

ああ・・・アメ公の(失礼!)ううばんぎゃー(いい加減な)態度には驚かされますねぇ!ハッキリ言ってその時には
開いた口が塞がらない状態でした!・・・それでも気を取り直して「間違って送付した代金を某郵便局に返送して欲しい」
と再びメールを送りました。局にはその事を一応報告しておきました、「出来るだけの事はしましたよ」って。

更に一週間後「代金が届きました」とライカを売ってくれたバイヤーさんからメールが届きホッとしました。勿論彼が
Siegel氏なんですよ、彼との信頼関係がなかったら私はもっと辛い目に遭っていたことでしょう。
彼は「永年取引をしてるとそんな事もありますよ」と言ってくれました。

さて、気になるのはヨソのバイヤーに着いてたあの為替。局の担当に電話して確認してみました。
で、ちゃんと郵便局宛に送ってきたそうです。私は更に気になって「為替はいったん換金されていたんですか?」
と訊ねてみました。「はい、そうなんです」「ええっ!受け取れるのは為替記載の受取人だけなんでしょう?」
「はい、ホントはそうなんですが・・・受け取って換金していたらしいんですよ・・・」

ああっ・・・やっぱりヤツは「詐欺」まがいのバイヤーだった!と思う事しきりでした・・・

もうお分かりの通り、「一度躓くと立ち直るのは容易ではない」と言うお話でした。


英文メールを書くのも大変でしたが、他にも要らない物がキャンセルする前に届いたり、欲しいモノが
次々に売り切れだったり、送ったはずの為替が届かなかったりしてマジで最大のピンチでした。自分が悪くないのに
相手に迷惑を掛けたというのが一番辛かったですね。

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